58歳で早期退職した本人が、退職前に実際に整理したこと

執筆者: 運営者

58歳で会社を卒業した。でも、決め手は一つではなかった

私は大学卒業後、メーカーで約36年、商品開発と設計技術の仕事に携わり、早期退職者制度を利用して58歳で会社を卒業しました。

ただ、退職届を出した日に突然決めたわけではありません。

「長く勤めたから」「仕事がつらかったから」という一つの理由でもありませんでした。判断材料は、次のように分けて整理しました。

  • お金
  • 年金
  • 家族
  • 住む場所
  • 働き方
  • 会社で起きたこと

こうして、少しずつ「いつか辞めたい」を「いつなら辞められるか」に変えていきました。

この記事は、同じ年齢で会社を辞めることを勧めるものではありません。一人の判断例として、自分なら何を確認するかを見つけてもらうために書いています。

退職は、ある日突然決まったわけではない

私の場合、会社卒業までの流れは、次の4段階で進みました。

1. 退職の数年前

FPに相談し、「いつなら会社員を終えられるのか」を数字で考え始めました。この時点では、まだ退職を決めていません。

2. その後の数年間

通信費などの固定費を見直し、退職後にも続く支出を少しずつ整えました。

3. 退職前年

まったく予想していなかった組織変更と担当業務変更を、事前内示がないまま有無を言わさない形で告げられ、休職に至りました。ここで、「いつかは辞める」というおぼろげな考えが、唐突に「いつ辞める?ホントに辞められる?」という現実の判断に変わりました。

4. 58歳

退職前年の秋ごろ、家計、年金、退職後の収入、家族、住む場所、働き方を確認したうえで、早期退職者制度を利用して退職を申請し、58歳の3月末に会社を卒業しました。

振り返ると、一つの出来事で決めたのではなく、数年かけて判断材料がそろっていった形です。

「いつ辞められるか」を数字で考え始めた

FPに相談した目的は、「会社を辞めるべきか」を決めてもらうことではありませんでした。

知りたかったのは、「自分の家計と資産なら、いつ頃から会社員を終える選択肢が現実になるのか」です。

家計、資産、年金を並べて試算すると、思っていたより早い時期も選択肢になり得ることが分かりました。私にとっては、ここで初めて「いつか」という希望が、年齢や数字を置いて考えられるテーマになりました。

ただし、その試算だけで退職を決めたわけではありません。生活費、収入、税・社会保険、住宅、家族条件は自分でも確認し直しました。

固定費は、我慢より仕組みを見直した

退職を考え始めたからといって、食事や趣味を片端から削ったわけではありません。

先に見直したのは、通信費など、満足度を大きく下げずに継続的に減らせる固定費でした。

「安いものへ変える」こと自体を目的にせず、自分に必要な条件を決め、その範囲で契約を組み直す。退職後の生活費を考えるうえでは、我慢を増やすより、毎月自動的に出ていくお金の仕組みを整える方が自分には合っていました。

会社での出来事は判断を早めた。でも、それだけでは決めなかった

退職前年、まったく予想だにしなかった組織変更と担当業務変更を、事前内示が一切なく有無を言わさない形で言い渡され、精神的に追い詰められた結果、休職するに至ってしまいました。

ここで、「いつかは辞める」というおぼろげな考えが、唐突に「いつ辞める?ホントに辞められる?」という人生上の大きな判断をくださないといけない状態に陥ったのです。

それでも、つらかったからすぐ辞める、とは決めませんでした。会社に残る案も置いたまま、以前の試算、生活費、年金、家族、退職後の働き方をもう一度確認しました。

会社で起きたことは判断を早めた要因でしたが、退職の全部ではありませんでした。

退職前に整理した6つ

最終的に、私は次の6つを整理しました。

1)生活費

直近の支出と、車や住宅などの大型支出を分けました。退職後も守りたい生活を基準にし、無理に切り詰めた数字にはしませんでした。

2)入るお金

退職金、企業年金、公的年金、個人年金、事業収入などを、「いくら入るか」と「いつから入るか」に分けました。

3)健康保険と税

任意継続、国民健康保険、家族の健康保険の被扶養者などの候補を比べ、住民税なども含めて支払う時期を確認しました。

4)年金

平均額ではなく、自分の加入記録と見込額を確認し、年金が始まるまでの期間をどうつなぐかを考えました。

5)家族と住む場所

配偶者の仕事や社会保険、住宅、離れて暮らす家族との距離、これからどこでどう暮らすかを条件に入れました。

6)働き方

「会社を辞めたら完全に無職」だけではなく、個人事業という案も置きました。収入だけでなく、使える時間やストレスも含めて比べました。

「辞められる」と「辞めたい」は、別々に考えた

退職を考えていたとき、私にとって大きかったのは、「辞められる」と「辞めたい」を分けたことです。

家計上は辞められても、辞める義務はありません。逆に、辞めたい気持ちが強くても、準備が足りなければ時期を延ばすことができます。

私は「辞められるか」を数字と制度で確認し、「辞めたいか」を仕事、家族、これからの生活から考えました。

その二つが重なったところで、退職を決めました。

自分の場合は、何から確認すればいいか

私が整理した6つは、私自身の条件です。人によって必要な確認項目や優先順位は変わります。

「自分の場合は、まず何から確認すればいいのか」を整理したい人は、「50代で会社を辞めるか迷ったら、まず何を確認する?」で、生活費、収入、資産、健康保険、年金、働き方、家族条件の7項目から順に確認できます。

私と同じ結論を選ぶ必要はありません。

今日やるなら、自分にとってまだ曖昧な項目を一つ選び、手元の資料か公式情報で確かめてみてください。その一つが、自分の「会社卒業のものさし」を作る最初の材料になります。